前回は竜田駅の真正面に夏祭りが開催されていましたが、今年は駅前ではなく、町の中心部でやるとのことでした。
駅を降りたら屋台があるとふんで朝から何も食べてきませんでしたので竜田駅を降りたときは軽く落ち込みました・・・。
ま、目的は常磐線の限界駅がどのようになっているのかの検証なので、今回は夏祭りには参加しませんでした。
竜田駅は福島県楢葉町にあります。
常磐線で水戸から仙台に行く途中なのですが、福島原発の事故でこちらが最終駅になっています。
ここ以上は放射線量の判断から竜田駅が限界駅となっています。
ただし、2017年中にもう少し進んだところまで開通するという話を聞きました。
去年に比べて思ったのが、少しずつアパートとか新規参入の会社ができ始めていることでした。
全くの更地だったところに少しずつ建物が建ち始めています。
ただし、そのスピードはとても速いとは言えません。
仮にいま住んだとしても、町にはスーパーも飲食店も学校も何もありません。
労働環境としてもイメージがよくありません。大手企業であれば進出しづらいでしょう。
少し歩くといまだに放射線土嚢が無数に放置されています。
これではここに住みたいと思う人は少ないでしょう。
農作業をしているおじさんに話しかけると思ったよりも反応がよく、いろいろ話してくれました。
震災前は7500人いた人口が今は1500人しかいないとのことでした。5分の1です。
住居以外の施設は駅しかないそうです。
唯一あった小学校は閉鎖になったそうです。
敷地も広く、体育館とかまだ新しいのに、もったいない気がしますが、僕には何もできません。
「これじゃ若者は住みつかないよ。」とつぶやいていました。事実お年寄りしか住んでいないそうです。
「あと30年もすればこの町なくなるよ」と言われたときに、どんな顔をしていいかわかりませんでした。
海のほうに歩くと、やはり昨年よりも工事が進んでいました。
一番目立っていたのが海沿いの川の上に橋が一つ作られていて、完成間近でした。
ただし、橋が完成してもほかの道とか防波堤とか全く出来上がっていません。
また、人も住んでいませんので、この橋が生かされるのは何年先になることやら・・・。
海沿いに一列に鉄板が埋められていました。
実際の津波の高さはもっと高いと思うのですが、それでも鉄板は5メートルは高さがあったと思います。
今回気づいたのですが、竜田駅の海岸は普段から波が荒く、決して穏やかではありません。
なんというか、先入観かもしれませんが怖さを感じる波で、とても海水浴とかには向いていません。
気候の問題なのか、地形の問題なのかはわかりませんが、つねに波がたっていて霧がかっている状況です。
この前テレビで若手の経済人が「公共事業なんてどんどんなくして民営にまかせればいい」と言っていました。
しかし、この光景を見る限り公共事業でテコ入れをしない限りどうやっても前進するようには感じませんでした。
川の水はきれいだし、いい街ができそうな雰囲気はありますが、どこから手を付けていいのかわからないほど野ざらしの状態です。
海の向こうは火力発電所です。
かすんで見えますが、なんか切なくなってきました。
文明の進化って何なんでしょう。
僕は決して身ぎれいな人間ではありませんし、人間の欲深さは直視してきたほうだと思います。
原発の件に関しては、その後のやり取り含めて人間の欲と身勝手さを端的に表れていると考えています。
火力発電所を眺めながら、しばらくいろいろ考えて立ち尽くしてしまいました。
高台にあがり、上から眺めてみました。
生々しいと思いますが、↑の写真の木々があるところと平地のところではっきりと分かれていると思いますが、この平地の部分が津波のあとです。
これは素人だから言えると思うのですが、(大変に不謹慎で申し訳ございません)ぎゃくにこの状況だからこそ計画的に街がデザインできるというメリットもあると思います。
後ろばかり向いても時間は戻りませんので、そんなことを少し考えました。
少し暗くなってしまいましたが、今回も新しい発見があって楽しかったです。また来たいと思いました。
都会暮らしをしておいて限界駅を見るのは自分の中でも葛藤があって、物珍しさや単純な好奇心があることも事実です。
そのため見ている人からすれば否定的な意見もあると思います。
その場合はすみません。